ユーザーの70.4%が、サイトの表示速度や不具合を理由に購入を断念した経験があると回答。
今や、買い物の下調べにもAIが広く活用されている時代です。たとえば、チャットボットにおすすめのランニングシューズやコーヒーマシンを尋ね、候補を絞り込んでから購入先のサイトにアクセスするといった流れは一般的になっています。しかし、消費者が最終的に購入するのはその企業のサイト上です。そこでサイトの動作が遅ければ、購入を諦めて離脱してしまう可能性があります。
先月公開した記事『販売にもうサイトは不要?AI時代の購買行動と信頼性』では、多くの消費者がAIを使って選択肢を絞り込んだ後、購入前に企業のサイトを訪れて情報を確認していることをご紹介しました。また、米国の消費者1,008人を対象とした同調査では、サイトの使い勝手が悪かった場合にどのような行動を取るかについても質問しています。
結論から言えば、消費者はサイトの不具合が解消されるまで待ってはくれません。それどころか、サイトの動作状況から、その企業の商品やサービスの品質まで判断しています。
ブラックフライデーを数週間後に控えた今、今回の調査で明らかになった主な結果をご紹介します。
約7割がサイトの不具合を理由に購入を断念
調査対象者の70.4%が、サイトの表示速度の遅さや不具合を理由に、購入を断念した経験があると回答しました。これは、欲しい商品を見つけ、購入するつもりだったにもかかわらず、サイトの問題が原因で購入に至らなかったということです。
購入を妨げる要因は、必ずしも深刻な不具合とは限りません。商品画像の読み込みに数秒かかったり、「買い物カゴに追加」をクリックしても処理がなかなか終わらなかったり、決済画面でエラーが発生したりするだけでも、購入を思いとどまるきっかけになります。待っている間に別のサイトを開いたり、価格を再検討したり、届いたメッセージに返信しているうちに購入自体を忘れてしまったりすることもあります。
こうした消費者の多くは、わざわざ不満を伝えることなくサイトを離れます。そのため、売上レポートだけでは、失われた販売機会を把握することはできません。
サイトの表示速度が遅いと競合他社に売上が流れる
回答者の58.8%が、サイトの表示速度が遅い、または使いにくい場合、競合他社から購入する可能性が高くなると答えています。検索し直したり、AIにもう一度質問したり、ブラウザの戻るボタンを押したりするだけで、簡単に別の購入先を見つけられます。ChatGPTにおすすめされた企業のサイトを訪れた消費者も、同じ回答の中でほかの候補を紹介されているかもしれません。
この影響は一度の販売機会の損失にとどまりません。61.1%が、サイトの品質は、その企業の商品やサービスの品質にも関係すると考えています。決済画面の動作が遅ければ、ほかの業務も同じように管理されているのではないかと疑われる可能性があります。商品一覧の絞り込み機能が正常に動作しないだけでも、商品そのものの印象を損ねかねません。
消費者の約6割がサイトの品質をもとに商品そのものを評価しているという調査結果は、Web制作会社がクライアントにサイトパフォーマンス改善の重要性を説明し、予算を確保してもらう際の説得材料になります。
売上が期待できる日にはサイトへの負荷も増大
消費者の49.7%が、ブラックフライデーなどの大型セール期間中に、サイトの表示速度の低下や停止を経験したと回答しています。年間で最も売上が期待できるタイミングに、約半数の消費者がサイトのパフォーマンス問題に直面していることになります。
さらに、その影響はセール終了後も続き、31.7%が一度アクセス中に停止したサイトは再び利用したくないと回答しています。ブラックフライデーにサイトが停止すると、その場での売上だけでなく、その後の購入機会まで失う可能性があります。
また、サイトにアクセスするのは人間だけではありません。独自に行ったインフラ調査レポート「平均値からは見えないAIがサイトに与える影響」では、AIクローラーからのリクエストの84.1%が、キャッシュから配信できない動的ページに集中していることがわかりました。一方、人間の訪問者の割合は18.6%にとどまります。つまり、サイトへの負荷が最も高まるタイミングで、AIボットと実際の買い物客が同じサーバーリソースを使用することになります。
調査概要
本調査は、KinstaがPropeller Insightsに依頼し、米国の消費者1,008人を対象に実施したものです。掲載している数値は、すべて回答者の自己申告に基づいています。